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大阪のオフィスビルが不足している理由

Building the city大阪で働く人たちにとって気になるニュースがあります。それが大阪、特に大阪市の中心部で起きているオフィスビルの不足です。業績のいい企業の中心部への移転や拠点拡大などで需要が伸びている一方で新しくオープンするビルが少なく、空室率が低下しています。

ある調査によると、2018年3月の大阪ビジネス地区(梅田、淀屋橋・本町など)の平均空室率は3.38%。1年以上もの間、貸し手市場の基準ともいわれる5%を割り込んでいます。この状況になってしまった要因としてあげられるのが、2008年のリーマンショック。リーマンショックで景気が一気に冷え込んだ結果、大阪では空室率が10%を超えました。それを理由にオフィスビルの新築計画にも待ったがかかったのです。大規模なビルの建設には数年かかるもの。このときの計画が進まなかったせいで、ここにきて供給が途絶えています。

さらに大阪ならではの要因といえるのが、2013年4月に開業したグランフロント大阪。153,000平方メートルのオフィス面積を抱える大型ビルです。今となってはありがたい存在ですが、開業した時期はちょうどリーマンショック以前に計画された大規模ビルの建設が相次ぎ、オフィスの余剰感が高まっていたころでした。開業時の入居率は2割ほどにとどまり、大阪市内の平均空室率を押し上げてしまったのです。これがリーマンショック後と同じように大阪でのオフィスビル供給に歯止めをかけました。グランフロント大阪も2017年にようやく満室となり、今では市内の空室率を引き下げる要因となっています。

大阪市内では2017年3月に中之島フェスティバルタワー・ウエストが完成。2018年9月になんばスカイオ、2020年にオービック御堂筋ビル、2022年に梅田1丁目1番地計画などがありますが、このペースだとしばらく供給不足が続くと指摘されています。オフィスビルの不足をうけ、企業側もさまざまな策を講じているようです。

その1つがサテライトオフィス。いい条件のオフィスビルに入居できるまで別のオフィスを構えたりテレワークを制度化したりと、働き方の選択肢を増やしています。打ち合わせスペースなどを共有して協働するコワーキングスペースの数も増えているようです。例えばこちらのコワーキングスペースはWEB業界に特化しており、多くのクリエイターに利用されています。このようなサテライトオフィスを上手に活用していかないと、オフィスビル不足を切り抜けることは難しいでしょう。